店舗の内装工事ではインテリアデザインや工事費合計、施工期間は確かに気になる部分ですが、
他に気を付けたい重要ポイントがあります。
それが、耐用年数と減価償却の関係です。
確定申告の際に、負担が変わってくる部分なのでしっかりチェックしましょう。
減価償却の概要と計算を簡単におさらい
経営者にとって頭が痛いのが税金の問題ですが、店舗の内装は固定資産になり、
経費として計上すると節税に役立ちます。
しかし、内装工事費は高額ですし、長年使うものなので一度に経費として計算しません。
一般的に数年から30年ほどの期間をかけて、少しずつ計上していきます。
このように使用する年月の間、毎年少しずつ経費として計上していくことを減価償却と呼びます。
減価償却をするには、一定の計算ルールに従うことが大切です。
利用できる計算方法は、定額法と定率法の二種類があります。
まず、定額法はシンプルで、工事費合計を耐用年数で割って、毎年の分を計上します。
例えば工事費が1,500万円で、耐用年数が3年だったとしましょう。
この場合、毎年500万円ずつ計上します。
次に定率法は、初年度を最大として、二年目以降は少しずつ計上額を減らすのが特徴です。
上記と同じく、工事費が1,500万円で、耐用年数が3年のケースを見てみます。
定率法の場合1年目は750万円で、2年目は500万円、3年目250万円のような形になるのです。
計算方法は、届出をすればどちらも使えるので、相応しい方を選んでいきましょう。
一回当たりの計上額を増やせば節税にはなりますが、やりすぎると赤字転落するケースもあるので、
見極めが大切です。
法定耐用年数をチェックしよう
減価償却費の計算には、定額法・定率法ともに耐用年数が関わってきました。
耐用年数が短いと、毎年、より多くの経費を計上できます。
逆に耐用年数が長いと、長期間、経費として計上可能です。
ただし、問題は耐用年数は自由に決めて良いわけではない点。
オーナーが独断で、「今回の工事は、耐用年数10年だろう」と決められないのです。
それでは、どのようにして耐用年数を決めるかですが、実は建物や設備の構造や用途から、予め決まっています。
法定耐用年数と呼ばれるもので、木造の飲食店なら何年、と言う具合に決まっているのです。
具体的な法定耐用年数は、国税庁のホームページを見て確認しておきましょう。
ここで気になるのが、色々な工事・設備の導入を一回でやった場合でしょう。
この場合ですと、工事・設備ごとに個別に計算するのは面倒に感じるはず。
そこで、内装工事費や設備費を合算している場合、耐用年数は平均値か最も長い耐用年数で計算できます。
減価償却の気を付けたいポイントとは
まず賃貸物件の場合はやや特殊で、耐用年数=賃貸借契約の期間で考える場合があります。
結果的に計上できる額も変わってきますので、慎重に考えることが大切です。
また、事業のスタート前に内装工事を行うので、開業費用に含まれると考えやすいのですが、
残念ながら法的には含まれないとされます。
専門家によっては意見がことなりますが、国税庁では減価償却資産で計上するルールを紹介していることから、
現在は開業費用に当たらないとするのが、有力とされる見解です。
開業資金として認められるのは研修費用や賃料などに限られており、内装は含まれないと考えておきましょう。
まとめ
内装工事ついて、耐用年数と減価償却の関係についてご紹介いたしました。
減価償却と確定申告は、関連法の改正があったり、高度な専門知識がないと判断できない部分も多く、
税理士などのエキスパートに相談するのがおすすめです。
特に赤字転落すると銀行からの融資に響くので、やはりプロのアドバイスがあったほうが安心です。