まず造園とは、庭園などの空間を造ることです。
ではその造園に工事が付いた、造園工事になると素人がする庭造りとはちがうのでしょうか。
言葉は聞くけどよくわからない造園工事について、みていきましょう。
造園工事とは、国土交通省が定めた29業者ある建設業許可の一種です。
・整地や樹木を植えることなどによる庭園や公園、緑地・庭園などの築造
・道路や建築物の屋上などの緑化または植生を復元
これらが造園工事にあたります。
対象は、個人の家・学校・公園・道路・河川など幅広くあります。
ビルなどを建設していく工事とはちがい、自然を活かし環境を整えていくことが造園工事の主旨です。
広義の意味では家の庭造りも造園工事のひとつですが、ここでは国土交通省が定めた造園工事について説明していきます。
国土交通省によると、建設業で造園工事になる種類は下記になります。
・植栽工事
樹木を植栽します。
樹木を植えることはもちろん、裏庭の景観づくり、生け垣なども当てはまります。
もともと生えていた樹木を復元する植栽復元工事も含まれます。
・地被工事
地面をおおう芝生やコケなどの、地被植物を植えます。
・景石工事
景石を設置します。
景石とは、加工されずに配置される天然の石や岩のことで、日本庭園では特に欠かせないものです。
大きさや重さによってはクレーンなどが用いられます。
・地ごしらえ工事
木の伐採作業をした後、その場所に残された木の枝や幹の先端部、低木、雑草などを片付けたり、並べたりする作業です。
工事よりは後片付けのイメージが近いですが、とても重要です。
新たに苗木を植える場所を確保するとともに苗木へ栄養を与えたり、表層土の流出や土壌の乾燥などを抑制するために行われます。
・公園設備工事
花壇など公園を美化する修景施設をはじめ、休憩所やベンチなどの休養施設、遊具などの遊戯施設、売店などの便益施設などを設けます。
・広場工事
自然景観を楽しむ広場や運動広場といった広場をつくります。
砂地から芝生に変えたり、運動しやすい設備を追加したり、広場における新しい景観をつくります。
・園路工事
公園内に遊歩道や緑道などを設けます。
・水景工事
池や人工滝、噴水などの水景をつくります。
水質を維持するための装置の設置も含みます。
・屋上等緑化工事
建物の屋上や壁面などの緑化です。
ヒートアイランド現象の軽減や空気の清浄化、騒音低減などの効果があり注目されています。
・緑地育成工事
樹木や草花などの植物を育てるために、土壌改良や支柱の設置などを行います。
まさに自然を活かし環境を整えているのが、わかります。
しかし、これだけの種類がある造園工事は、専門的な知識やスキルはもちろん、状況によっては建設業の許可が必要になってきます。
請負金額500万円以上の造園工事を受注するには、建設業の許可が必要です。
では許可をもらうための要件は何があるのでしょうか。
・経営業務の管理責任者
これは、建設業の経営に一定期間携わった経験を持つ人がいることで、適正な経営を図るのが目的です。
株式会社では取締役が該当するといえば、イメージがしやすいでしょう。
・専任技術者
プランやスケジュール管理、品質チェック、工事に必要な資材の調達、安全管理など
適切に工事を履行していくには専門知識が必要です。
そのため、一定の知識や経験を有した常勤の専任技術者を配置することが重要です。
専任技術者が主にもっている資格は、造園施工管理技士という国家資格です。
資格がなくても、10年以上造園工事の実務経験があれば専任技術者になれるので、まさにスキルが求められているとわかります。
・誠実性
法律に違反するなど不正行為をする恐れがあると許可はもらえません。
場合によっては命を左右することになるので、当たり前のことですね。
・財産的基礎
様々な資金を要するので、安定性を確保するためにも必要です。
このように欠格要件に当てはまらないことが重要です。
専門スキルが必須な造園工事ですが、自然を活かした環境づくりが魅力です。